お客様視点でのアイメッセージ

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

 「この人事管理システムを導入すれば、生産性は飛躍的に向上します」
 「この人事管理システムによって業務が改善されれば、長い間、提案してきた甲斐があります」
 
前者のメッセージは、実際に私が提案を受けた時にお聞きした言葉です。
 
さて、前回までの拙稿において、部下や同僚を褒めたい場合には、アイ・メッセージはとても有効であり、単に言葉を並べるよりも自分の感情を伝えることで相手を肯定できるということを話しました。
 
「お客様別ごとにフォルダをつくり、バラバラになっていたファイルを整理してくれてありがとう。私も非常に助かったよ」

たとえば、これは私発信のアイ・メッセージであり、部下の自発的行動を評価しているので、この言葉を受けた部下は自己肯定感が高まり、モチベーションに繋がっていきます。アイ・メッセージを使うことで、上司はメンバーを鼓舞していくことができます。

そこで、部下への話の応用として、冒頭の発言の比較に話を戻し、マーケティングの現場に応用してみたいと思います。前者は「この人事管理システムを導入すれば、(あなたの会社の)生産性は飛躍的に向上します」、後者は「この人事管理システムによって業務が改善されれば、(私は)長い間、提案してきた甲斐があります」となります。

つまり、前者がユー・メッセージ、後者がアイ・メッセージとなります。このように、クロージングの現場でも有効に活用できます。お客様が製品の購入で迷っているときに、相手の立場に寄り添ったアイ・メッセージを決断を促すのです。

続いて、B to Cの観点でもう一つ例を上げてみたいと思います。

「お望みの体型になるために、(あなたは)このダイエット・サプリメントを購入してはいかがですか?」
 「こちらのダイエット・サプリメントでお望みの体型になれば、(私も)嬉しく思います」

後者は購入することを前提として、アイ・メッセージで自分の感情を伝えています。お客様にとっては、自己肯定感が高まり、承認欲求が満たされ、クロージングに一歩ずつ近づいていきます。

人は感情で行動します。相手の行動を促すには、感情に訴えかける必要があります。リーダーという立場になると、どうしても上位下達の視点からユー・メッセージで話してしまうことがありますが、時に反省し、時にぐっと言葉をこらえて言動を振り返り、自分の話し方を改善できるように意識していく必要があるといえます。

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