思い込みや先入観を廃し、真因を探求していく必要性

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

春らしい暖かい日々が続いています。

 前回の拙稿では、ロジカルシンキングにおける真因探求の本質として、リーダーである私たちが参加者の考えていることを素直な心で受け止め、見える化し、整理していくことをお伝えしました。
 しかしながら、ロジカルシンキングは、技術を知っていればすぐに活かせるというものでもありません。日ごろから意識して練習していくことで、論理的な思考方法を向上していくことができます。

 普段、何の気なしに行っている仕事も、この手法を意識的に取り入れてみると効率がよくなったり、相手に伝わりやすくなったりするなど、新しい発見があるかもしれません。私自身が100%実践できているかというとそうでもないのですが、今回は、日ごろ気にしているトレーニング的な実践について、整理してみたいと思います。
 はじめにご紹介したいのは、ゼロベース思考です。ゼロベース思考とは「これまでの自分の思考プロセスを確認する中で、先入観や思い込みを認識し、一旦は白紙の状態からスタートする」ということです。

 先般、ある会社の社長から「社員が営業マインドを強く持つための研修」の依頼がありました(社員さんの営業に対するモチベーションが低い、というお話は本当によくあります)。つまり「社員の営業に対するモチベーションが低い」ということに対する解決策のご相談ということになるのですが、果たして「社員の営業に対するモチベーションが低い」ということが、会社が抱えている本当の課題でしょうか。目先の事象のみをことさらに注視していないでしょうか。そもそも担当する商品やサービスがどのように社会の役に立っているかということが理解できていなかったり、会社としてどういう方向で社会に貢献していくかという、仕事の原動力が伝わっていないという可能性があります。

 ゼロベース思考という言葉を覚えていただく必要は全くないのですが、思い込みや先入観を廃し、真因を探求していく必要がありそうです。逆に言いますと、真因に辿り着くまえに「解決策と思われるもの」を実施してしまっては、もちろん真の解決には至りませんし、その施策の実施にかかる費用や時間などのコストを無駄に消費してしまいます。
 今回は文字数の都合でゼロベース思考しか取り上げることができませんでしたが、次回以降もロジカルシンキングのトレーニング方法についてご紹介していきたいと思います。

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