前回の拙稿ではオンライン商談におけるファクト、すなわち実際にあったことや事実をもとにした相互理解について述べました。今回はそのファクトについて、より一層掘り下げて考えてみたいと思います。

私たちの意思決定は「ファクトベースでいか物事をに考えることができるか」にかかっているともいえます。ビジネスの現場において、私たちリーダーが判断を謝れば、部下やチーム全体、時には会社全体を間違った方向に導いてしまいます。自分はこう思う、こうするべきと熟慮して進めてみても、結果としては、やはり違っていた、思ったような成果が出なかったということも多々あります。良いことであっても、悪いことであっても、今ある結果が全てのスタートラインです。これから先、多くの成果を求めるのか、成果が出るまで続けるのか、やり方を変えるのか、撤退するのか、いずれもに判断が要求されます。

経営の現場において、大事な判断をするときに感性や想いも大切ですが、過去の数字や現在の状況を客観的な事実、すなわちファクトで判断することも重要です。感情や感覚、経験則を排除した無機質な数字も直視しなければ、判断基準は感覚や感情、経験といった勘に頼り続け、永遠にそれらに引きずられ続けることになってしまいます。特にリーダーは「判断をすることが一番の仕事」と言われます。判断スピードを早めるためにも、成功の確率をあげるためにも、客観的な事実を集めることを意識することが肝要になります。たとえば、当社の事例でいうと、「個々の取引がどうか」「商談の相手との関係性」「取引先との関係性」など、個別の事柄を軽視するわけではありませんが、そればかりを注視すると個別最適の罠に陥ってしまいます。事業全体で見てみると、時として異常に人的リソースが割かれてしまっていたり、粗利のバランスが悪かったりと、全体最適の観点で見ると異常なことになってしまっていることも発生してしまうのが現実です。

当たり前ではありますが、感情や感覚、情熱が不要と言っているわけではありません。「何がなんでも成功させたい」という想いは変え難い財産です。しかし、ビジネスである以上は最終的には数字、すなわちファクトで判断されることも現実ですクールヘッド・ウォームハート(冷静な頭脳と温かい心)ということばにもあるように、熱い想いを心に持ちながらも、頭は事実から目を背けずに立ち向かっていきたいものです。

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