「伝承する」/致知6月号社内木鶏会を開催しました

致知&木鶏会、読書会

加藤滋樹です。

今回で23回目の社内木鶏会になります。ありがとうございます。

「自分らしさ」
「今の日本に足りていないことはなにか」
「小さくとも役立つ人になりたい」
等々、本日も、社員の皆さんと読後感について語り合うことができました。

以下に小生の感想文を転記いたします。
ご高覧をいただけましたら幸いです。

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今回のテーマは「伝承する」です。

特集総リードでは、安岡正篤氏のことばとして「賢は賢なりに、愚は愚なりに、一つのことを何十年も継続していけば必ずものになる」という記述があった。
これこそが魂の伝承の秘訣であると肝に銘じ、小生の志の励みとしていきたい。
 
早稲田大学の池田雅之先生と春日大社の山本行恭宮司の対談「子々孫々に遺しておきたい二本の心」では、「不運はチャンス」「何がああっても絶対に前を向け」「猿田彦大神の教えは前進あるのみ」に勇気を受けた。弊社社長が春日大社を敬愛する理由が腹に落ちました。

京阪ホールディングス・加藤好文会長の「経営の要諦は創業精神の伝承にあり」では、渋沢栄一の熱のこもった直筆の設立書簡を引用しておられた。また、「鳥の目で先行きを俯瞰し、虫の目で細部に拘れ」ということばには、小生も気をつけなければならないと思った。晩年、自身が気づいた松下電器のみならず日本の行く末を憂いた松下幸之助は、俯瞰する力があったことは当然ではあるが、実際には「いちいち細かい」というエピソードも多々残されていることを思い出した。

慶応義塾大学体育会野球部の堀井哲也監督と星稜高校野球部の田中辰治監督との対談では「この発言は自分のためなのか、チームのためなのか、自問自答しながら指導しています」に影響をうけた。小生も自らのメッセージを発する立場にあるが、我欲に基づくものではないか、志に立ち向かうためではないか、自らに問い続けたい。

佐藤等先生の「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」では、「知識組織におけるマネジメントの仕事は、指揮命令ではない、方向づけである」に大きな学びを得た。「組織は目的を持って設計され、形成される」ということから、永続のための適切な利益をあげることを念頭におきつつも「我々にとっての成果とはなにか」を問い続けていきたい。

今回の「伝承する」というテーマを振り返ったとき、その含意は、森信三先生がおっしゃった「逆境は神の恩寵的試練なり」に帰結されると思った。

喪失体験であったり、失敗であったり、壁であったり、がそれにあたる。

小生自身も、加藤家の業(なりわい)を引き継ぐことができず、廃業に導いてしまったという大きな挫折がある。

私は「せとものまち」と呼ばれる愛知県瀬戸市に住んでいる。実家は製陶業を営んでおり、神仏器をつくっていた。私は、加藤家にとって久しぶりの、恐らく待望の男児であった。社長であった亡き祖母は大層喜んだに違いないし、事実、本当に大切に育てていただいた。縁あって地元の商工会議所で働くことで修行する機会もいただいたが、結果的には、私が二十五歳の時には工場を閉じ、11年前・平成23年4月7日に会社も清算をしてしまった。当時、私に言い訳がたくさんあった。加藤家は少し複雑で私に加藤家の血が繋がっていないこと、折りからの原料高や外国産の安い商品、職人の不足などが理由である。しかし、今考えてみると、原因はたった一つである。私がその器ではなかったからである。志もなく、困難に打ち勝つ人間力も全く、何よりも勇気もなかった。「あと十年、あと十五年違ったら」と思うことはあるが、今はどうしようもない。

このような会社、引き継ぐことができない会社を減らすためにも、小生が率先して、渦中に飛び込むべく、4年前の11月23日に今の会社の代表として単身で乗り込んだ。そして全ての責任を追うために、2020年4月に全株式も買い取った。もう少し上手くできるかな、という自負心があったが、それは脆くも敗れた。

コロナ禍が訪れ、本当に逆境ばかりであった。しかし、くじけずに前進できているのは、木鶏会のお陰であり、何と言っても社長や社員、ご支援をいただいている皆様のお陰であるといっても過言ではない。

 「不運はチャンス」

本当に良い響きである。逆境こそが小生の志が試されていることを念頭において、「日本でいちばん幸せを感じられる会社をつくる」という志の実現に邁進していきたい。

当社コラムをご覧いただきありがとうございました。
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