ひとり暴れ太鼓と全体最適

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

季節は霜降を過ぎ、ニュース番組でも朝霜の話題が出てくるようになりました。急に朝晩が冷え込んできましたので体調を崩さないようにしたいものです。

さて、先日来、当事者意識の話題を触れております。当事者意識の醸成に役立つ手段として、リーダーの率先垂範、イメージを言語化する力の育成、適切なフィードバックの三つを述べました。今回はその先についての話題です。当事者意識を上手く得てもらうことができたのちの取り組みについて、私が直接見たり聞いたりしたことも振り返りながら、できる限り具体程に書いていきたいと思います。

先日、先見性のある金融機関の管理職の方とも話していていたのですが、当事者意識を育み、仕事を任せることができたとしても、それが任せた範囲で閉じてしまう「狭い当事者意識」であってはなりません(その方は「ひとり暴れ太鼓」と喩えておられました)。ここでいうところの狭い当事者意識の定義は、「日常接点を持つ空間のみで通用する狭い部分最適」です。

こうした状態を放っておくと、全体を見ない個人事業主が組織の至るところで出没しかねません。部分最適の自己肯定感を持つ個人事業主を寄せ集めたチームでは、真の競争力は高まりません。また、狭い範囲、頭打ちの役割に上限を定めてしまうことは、個人の持つポテンシャルを顕在化させないことにもつながります。自身にとっても、組織にとっても実に大きな損失です。

このような損失を回避するためには、やはり経営全体を理解する機会を持つことが重要です。自分の仕事が、世の中の中において、そして組織の中において、全体で見たときにどんな意味合いを持つのかを考えるきっかけを伝えることです。物事に取り組む時の視座を高めることともいえます。

その観点から、私が普段考える問いかけ具体的なフィードバックとして、以下の三つの質問を心がけています。
「お客様から見たとき、それは重要なことなのか。優先順位が高い課題なのか」
「あなたの行動は、他の部門の人たちから見た時に、どう映っているか」
「あなたが経営者の立場だったら、この仕事についてどう考えるか」

最後に、狭い当事者意識の反対、広い当事者意識についてまとめてみたいと思います。それはすなわち「日頃、関係性を持つ人たちのその先の人たち、そしてその先の環境を見通した広い全体最適」です。リーダーである私たちがこのことを念頭において、行動し、チームに伝えていきたいものです。

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