志 三つの条件(つづき)

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

今週は平野部でも雪化粧が見られ、一段と寒さが増してきました。コロナ禍という特異な外部環境を抱えた一年間でありましたが、これからは、この事実がスタンダードになるという前提で、新しい仕事環境の整備を進めていきたいと考えています。

さて、前回の拙稿では、伝記作家の故・小島直記先生が仰った「志の三つの条件」から、「人生にテーマを持つこと」「生きる原理原則を持つこと」の二つを紹介しました。そして、本日は三つ目の条件である「言行一致」を取り上げたいと思います。

言行一致。
改めて考えてみると、そうありたいと思うのは、私たちの純粋な願いなのかもしれません。経営する人の動機、リーダーの人たちのモチベーションの源泉のうちの少なくない部分は、「理想の会社をつくりたい」「本当に必要な商品、本当に必要なサービスを提供したい」という思いから始まっている場合が多くあります。つまり、「言行一致をまさに体現しよう」としたところに、私たちの存在証明の端緒がスタートしています。

企業は理想を掲げ続けなければなりません。言行一致はその際の軸となり得るものです。しかし、現実には、商品やサービスが人気を博し、会社が大きくなっていくと、理想と現実の間に乖離が生まれ始め、懸命にそれを埋める努力をすることが必要になってきます。物事をスタートすることは難しいが、それを継続することも難しいとよく言われたものですが、それが言行一致についても当然当てはまります。初期の頃、関係する物事や人が少ないときは、易くできていても、拡大していくタイミングになると、やはり困難が訪れます。

また、私自身がとても反省をしながらこの原稿をかいているのですが、経営者が口ではいくらでも立派なことや偉そうなことを言うことができます。しかし、会社の社員も、世間様もその言葉を受け入れて、その人を信用してはくれません。「あの人は素晴らしいことを言う人だ」というだけで、本当に信用してくれることはまずありません。ならば、どこを見て判断をしているのでしょうか。それは、言っていることとやっていることの違いを見ています。どういう人を信頼しようと判断しているかというと、言っていることとやっていることを一致させようと自らに厳しく生きようとしている人です。

部下に命ずる限りは自らやる。人に求める限りは自らやる。この厳しさがあるかどうかを人は見ているのではないでしょうか。

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