拡散した発言やアイディアを収束させていくために

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

「皆さんから出てきたアイディアは、コスト・PR・マーケット・営業の4つのグループに分けることができると思いますが、よろしいでしょうか?」
「また、これらのグループのうち、皆さんが一番課題だと思われるグループはどれでしょうか?」

会議や対話におけるファシリテーション。前回は拡散した発言やアイディアを収束させていくための手法について述べました。今回は、その後の合意形成について考えていきます。

合意形成というと、多数決が一番はじめに思いつく手法です。しかし、ビジネスの現場で意思統一を図ろうとする場合には、できるだけ合理的に判断したいものです。そこで、今回は合意形成を図る代表的な技術として、メリット・デメリット法とペイオフ・マトリックス法の二つをご紹介したいと思います。

一つ目は、メリット・デメリット法です。選択肢のメリットとデメリットを列挙していき、メリットが多く、デメリットが少ない案を選択するというものです。分かりやすい手法なので、導入しやすいという利点がありますが、選択肢となる案が多すぎる場合には、整理や全体把握に時間がかかるという課題もあります。

二つ目は、ペイオフ・マトリックス法です。ペイオフには様々な意味がありますが、ここでは「報われるた効果や結果」という意味となります。マトリックスは行列と訳すのが適切です。ペイオフ・マトリックス法とは、X軸とY軸の二次元の表に、選択肢を評価するための判断基準を二つ書き出し、それぞれの案がどの位置に来るかを位置付けていきます。例えば、「効果の大きさ」と「実行までのスピード」を評価軸とした上で、それぞれの案を位置付けた場合、成果が大きく、すぐに実行できる案を最優先として選択することが可能となります。マトリックス表を作ることで、基準に基づいて可視化できるため優先順位が付けやすくなります。

メリット・デメリット法やペイオフ・マトリックス法以外にも合意形成に使える手法は色々とありますが、大切なことは手段よりも参加者全員が納得して合意していくことです。

見える化する手段を用いず、「どの案から実行すればよいと思いますか?」と意思決定を参加者に丸投げしてしまうと、論理的に判断ができず発言力が大きい人の意見に左右されるという結果になりかねません。そうならないためにも、ファシリテーターが判断基準を提示し、合理的に意思決定をしていく必要があります。


(ペイオフ・マトリックスの例)

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