構造化することで、論理性を持った指導へ

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

前回は物事の「構成要素」と「構成要素間の関係」を整理する取り組みである「構造化」について、そのメリットを取り上げつつ、「自分自身の経験を伝え、それをもとにチームの力量を上げていく際に最適な方法」ということを述べました。

 本日はそのようなリーダーが過去に得た経験の構造化を試みていく際のスキルについて、整理していきます(ちなみに、この文章を書くために情報を整理する作業も、まさに構造化といえます)。

 構造化には五つの段階があります。
 はじめに、「いつ」「どこで」「誰と」「何があったのか」「その理由はなぜか」といったような、過去に得た経験をいくつかの項目に要素として分解します。
 次に、上記の経験一つでは説得力に欠けるため、さらに同じように上手く行った経験を取り上げ、一つ目と同様に分解します。このように、複数の経験の分解を続けます。
 三番目として、「はじめに」と「次に」で分解した経験の要素を俯瞰し、共通点を見出します。
 四番目として、共通点から「何がいえるのか」を整理します。
 最後に、共通点を見出した要素に対して何かの定義づけ、つまりネーミングを行います。

 構造化は何かを学習し、知見として習得していく際の法則性として機能していくので、チームとして有効な情報として蓄積されていきます。
 チームのメンバーに何かを伝えていく際に、多くの「情報の受け手側」が不満に思うことが「経験から指導される対処法や教訓は理解したが、今日や明日からどう応用するべきかが分からない」というものです。この時に指導にあたっているリーダーが、自分の経験や知見を整理し、構造化を図ることができれば、メンバーの経験に当てはめて物事全体の関係性から課題を見つけて、改善点を見える化していくことができます。

 つまり、経験による場当たり的な対応で、ともすれば「あの人は過去の栄光ばかり語っている」と思われてしまうような経験則のみを伝える指導方法から、論理的に構造化されつつも更にチームに適合したオリジナリティのある論理性をもった指導へと様変わりしていくことができます。当然ではありますが、「教え」が効果的になれば、間違いなくチームの生産性は向上します。

 リーダーである私たちは、果たして本当に構造化し分かりやすく現場で生かされるように物事を伝えていくスキルを持っているでしょうか。改めて見直してみたいものです。

当社コラムをご覧いただきありがとうございました。
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