過度な承認欲求が起きる理由

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

 前回は、自己肯定感の欠如にともなう過度な承認欲求について、マズロー博士の欲求段階説の側面から課題を述べました。

 現代の日本では命の危険にさらされることは少なく、多くの人は生理的欲求、安全欲求は満たされているため、所属と愛の欲求や承認欲求からスタートしていきます。

 そこで、今回は、これらの欲求を満たしていくための関わり方について、考えてみたいと思います。

 所属と愛の欲求や承認欲求。これらを満たしてくれる人に心を開こうとするといえます。とくに承認欲求は人間関係に大きく影響する欲求であり、相手の承認欲求を満たしていく関わりは、相手に心を開いてもらい、関係性を深める上で大切な行為です。ビジネスにおいても、部下や上司、お客様に対して承認欲求を満たしていく関わりができる人物は、相手と良好な関係性を構築でき、当然、高い成果につながっていきます。

 一方で、自分自身の存在を肯定できず、承認欲求を満たすことに執着すると、相手から認めてもらえないばかりか、敬遠される原因になります。これが、前回述べた、介護施設の利用者や職員さんの過度な承認欲求が発生する過程ともいえます。

 「なぜ承認欲求が強くなるのか」という理由はひとつに絞られるわけはないのですが、その中でも起こりがちなものを3つに分類して紹介してみたいと思います。

 一つ目は、自分から認めてもらえていないということです。この世でいちばん認めて欲しい人、それは自分自身です。人は自分から認められたいという欲求を無意識的に持っていて、このことを自己承認欲求といいます。他社からどれだけ認められていても「自分という人」が認めてくれていなければ、結局は幸福を感じることはできません。

 そのため、自分で自分を認めるということは、他人から認められるということよりも大切であるといえます。自分から認められていない場合には、最も認めて欲しい人から認めてもらえていないということなので、強い欲求不満の状態といえます。そうすると、この欲求不満を別の形で解消しようとする動機が強くなっていきます。このことを「欠乏動機」といいます。この欠乏動機により、「自分という人が認めてくれないならば、他者から多く認めてもらおう」という言動に繋がってしまい、他者に過度な承認欲求をもとめることになります。

 次回は、「両親からの愛情不足」や「認められた経験の不足」について、深掘りしていきます。

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