承認欲求は中毒にもなり得る

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

過度な承認欲求が起こる理由について、前回より三つに分けて考えています。前回は一つ目として、自分で自分を認めることができない欠乏動機を取り上げました。

 二つ目は両親からの愛情不足です。

 一つ目の欠乏動悸に関連することなのですが、自分から認められるために重要な要素の一つが、両親からの愛情を受けるということです。私たちが生まれて初めて経験していく人間関係は、両親との関係です。そのため、両親との関係がその後の人生すべての人間関係の大元となります。これを「内的ワーキングモデル」といいます。両親との関係において、十分に愛を受けた原体験があると、「自分は人から愛されるべき存在である」という自己認識がつくられ、自分で自分を認められるようになります。

 しかし、両親から十分な愛を受け取ることができなかった場合、この自己認識がつくられません。その結果として、自分から認めてもらえない欲求不満を他者から過剰に認めてもらうことで補おうとするため、承認欲求が強くなります。

 三つ目は、認められる経験の不足です。

 十分な食事を得ることができる人は、多くの食べ物を求めることはありません。しかしながら、食事がとれておらずお腹が絶えず空いている人は多くの食べ物を求めます。

 同じように認められる機会が十分にある人は、それほど多く認められることを必要としません。一方で他者から認められる経験が少ない人は、より多く認められることを必要とします。

 結果として、この認められるということ自体が過度の快感につながってしまう人が少なくありません。人はひとたび快感の刺激を味わうと、また味わいたい、もっと強い刺激を味わいたいと願うようになります。この自制が効かなくなると中毒のような状態になります。

 承認欲求が満たされることは、この快感の刺激をもたらしてくれます。この快感の刺激をまた味わいたい、もっと強く味わいたいということが、間違った方向であったり、見るからに過剰であったりする場合は、中毒症状を疑う必要があります。

 例えば、FacebookなどのSNSで「いいね!」という機能があります。「いいね!」が付くことは承認欲求を満たすための手軽な手段ですが、これによって快楽の刺激の中毒に陥ってしまうと、「いいね!」をまたもらいたい、もっともらいたいと思うようになってしまいます。そのため、SNSから抜け出せなくなってしまう人は少なくありません。

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