進化論とプラグマティズム
一年でいちばん寒さが厳しくなる大寒を迎えました。新型コロナウイルスについてもオミクロン株の流行が急速に広がっており、先が見通せない日々が続いています。様々な制約がある日々ですが、そのような状況であるからこそ、ただ物事が過ぎ去ることを待つのではなく、未来を見据えできることを考え実践していきたいという自省を込め、プラグマティズム(実践主義)について今週も考えて参りたいと思います。
改めて、プラグマティズムについて情報を整理し、ご紹介をします。プラグマティズムはギリシャ語における、行為、事実、重要事、そして実行を意味する「プラグマ」という言葉に由来しています。「物事の真理を、理論や信念などではなく現実化されていない言葉からではなく、何よりも行動を尊重し、その結果から判断していこう」という思想です。
プラグマティズムが誕生したのは、1870年代のアメリカです。その背景には、チャールズ・ロバート・ダーウィンが1859年に発表した『進化論』や1860年代に起こった南北戦争があります。進化論を巡っては「神が天地創造を行ったと考える人たち」と「科学的な解釈を試みる人たち」との間で大きな論争がみられました。また、南北戦争では奴隷制度に賛成する南部と反対する北部との争いがありました。このように異なる理論や信念による対立からの現実的な前進を目指して、プラグマティズムが生まれました。
ご存知の通り、アメリカは移民が多く歴史が浅い多民族国家です。地域に根ざした共通する価値観があまり存在していません。そのような特色から、相互が協調して存在していくための重要な思想としてプラグマティズムは生まれ、発展していきました。
プラグマティズムをはじめに提唱した哲学者はチャールズ・サンダース・パースです。彼は、「アメリカ合衆国の哲学者たちの中で最も独創的かつ多才であり、そしてアメリカのもっとも偉大な論理学者」ともいわれており、科学者としての役割を主としながらも、その論理的背景として哲学者の考え方を持つという、二つの側面を融合させた人物でした。パースは、「頭の中で考えた理論や信念を対立させていくだけの状態は無意味であり、争いが絶えることはことはない」と考え、「行為や結果に基づいて判断するべきである」と考えました。
本日はプラグマティズムの黎明期について述べました。次回もその進展についてたどって参ります。
当社コラムをご覧いただきありがとうございました。
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