情報を集め、一定の閾値(しきいち)を超える
季節は立夏となりました。立夏とは「夏が立つ」と書くように、夏の兆しが見え始める頃という意味で、陽気も増し夏の気配を感じる時期だそうです。暦の上では立夏から夏に入るため、「暦の上では夏となりました」といったフレーズをよく見聞きするようになりました。
さて、前回の拙稿では、ジェームス・ウェブ・ヤングが1940年に出版した『アイデアのつくり方』という書籍の中から、「全てをやる」「考える力」「あらゆる業種への汎用性」という必要とされる心構えについて述べました。振り返りにはなりますが、同書には、アイデアが生まれてくるまでの過程として、「資料集め」「関係性の発見」「意識の外に置く」「緊張を解いて発見を待つ」「現場での活用し有効性を確認する」という五つの段階が示されています。
先般、この本の話題を親しい経営者の方たちと話していたときに出てきた疑問があります。それは、「ユーレカ!(我見いだせり!)」という叫びとともに生まれる「閃き」はいつ訪れるのかということでした。
第一段階の資料集めと第二段階の関係性の発見は具体的ともいえます。資料集めも集めた資料をもとに考え、関係性を発見する作業も能動的かつ自律的に行動することができます。しかし、第三段階の意識の外に置く作業や第四段階の緊張を解いて発見を待つという頃合いはどうしたら良いのでしょうか。アイデアを練り込むことをやめて、閃きを待つとのことですが、もちろん、その閃きが「いつ降ってくるのか」という目安となる時期を示してくれてはいません。要は「閃くときまで待て」ということだと思うのですが。
その疑問に対し、私は「インプットの量で閃きの早さが変わるのでは」というように解釈をしています。著者は課題に対する資料や情報はもちろんのこと、リベラルアーツともいえる様々な分野の知識を蓄える必要もあると述べています。つまり、二つの領域のインプットの量がある一定の閾値(しきいち)を超えることができれば、早くにアイデアが構築されるのではないかということです。
この解釈に至ったのは、以前も紹介したアイデアは「A+B=Cで生まれる」ということ、つまり、既存の有益なアイデアの組み合わせで新しいアイデアは生まれてくるという「アイデアとは既存の要素の組み合わせ」という言葉からでした。
次回はその「既存の要素の組み合わせ」について、掘り下げて考えていきます。
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