エフェクチュエーション/5つの原則(つづき)
二十四節気でいうところの白露の季節となりました。草花に朝露がつき、秋の訪れを感じる日々です。
さて、前回より手元にある手段からスタートし、何ができるかを考えていくエフェクチュエーションについて、提唱者であるサラス・サラスバシー博士が構築した五つの原則を紹介しています。今までに「手中の鳥の原則」「許容可能な損失の原則」「クレージーキルトの原則」の三つを紹介しました。今回はその続きとなります。
四つ目は「レモネードの原則」です。アメリカには“When life gives you lemons, make lemonade.”ということわざがあります。これは「人生がレモンを与えたときには、レモネードを作りなさい」という意味です。レモネードの原則は、このことわざのように従来の常識や過去の経験では使い物にならないと思われる欠陥品であっても、工夫を凝らして新たな価値へ生まれ変わらせるという考え方です。一見失敗に思えるものであっても、視点を変えたりポジティブな意味付けを与えることによって、新しいアイディアにつなげることができることができます。エフェクチュエーションでは、失敗を成功に繋げる思考と行動を重要視しています。
五つ目は、「飛行機の中のパイロットの原則」です。今までの四つの原則を網羅した原則ともいえるもので、状況に応じて臨機応変な行動をすることです。常に数値を認識しながら臨機応変な対応をしていくパイロットのように、不測の事態、外部環境の突然の変化に柔軟に対応することが大切です。また、将来は自分たちで変えることができるという世界観を意味しており、未来は発見されたり予測されたりするものではなく、実践者自らの戦略によって築き上げられていくという心持ちの姿勢でもあります。
これまで主流であった目的ありきのコーゼーションは、未来は予測できるというという前提のもとに成り立っています。これは、意思決定や姿勢が一貫しやすいという利点がある反面、予測が外れた時の軌道修正にかかる労力は膨大なものとなります。
一方で、激変する市場や予測が難しい領域で高い効果を発揮するエフェクチュエーションです。不確実性の高い現代において、状況を臨機応変に判断しながらゴールを目指していくこの概念は、これからの時代に私たちが変革を起こしていくための戦略思考としてますます注目を集めていくと思われます。
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