拡散していく事実を収束させるためには

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

三寒四温。季節のは着実に春に向かっていることを実感しています。

さて、前回まで事実とは何かを探求してきました。その結論として、経験と勘や自分自身の目に見える範囲だけで捉えた事実ではなく、自身と顧客や従業員などからの視座など多面的な事実を掴む必要性を述べました。しかし、私も悩まされる日々なのですが、例えば会議や個別の対話などで多面的な事実を捉える努力をするほど、発言が多面的かつ重層的であるが故に議論が拡散していき、収束させ本質を見極めることが困難となります。

そこで、私が考える鍵となる技術が議論を発散させ収束させる方法、すなわちファシリテーションです。今回からは、私自身の実践を振り返りながら、また会議の取り回しが上手な諸先輩方の様子を思い出しつつ、その技術のポイントをお伝えして参ります。

ファシリテーションを日本語に訳すと「容易にすること」「促進すること」という意味となります。イメージとしては、会議や対話を含めた人々の集団活動が容易になるように支援したり、上手く物事が運ぶように促すことです。ファシリテーションの技術は企業現場はもちろんのこと、まちづくり、学校教育とあらゆる場面で取り入れられています。私は、その中でも効率的な会議運営、効率的な対話に焦点を当ててファシリテーションの技術を解説していきます。

例えば、「こんな会議は無駄だな」と思った経験はないでしょうか。

「何のために集まっているかハッキリしない」「発言するのは同じ人ばかり」など、多くの組織において会議に関する悩みは尽きません。このような悩みを解決し、効率的で生産性の高い、そして誰もが納得して次のステップに進むことができる議論を実現する技術がファシリテーションであり、その役割を一手に担う人がファシリテーターと呼ばれます。

ファシリテーターは会議や対話から生み出される果実を最大化する人、いわば「舵取り」をする人です。人が二人以上集まれば、「感情の対立」や「意見が噛み合わない」「意見が言いにくい」など、集まった意義や価値を低下させる様々な要因が発生します。ファシリテーターは、これらの要因を取り除き、参加者が協働して会議と会議後の行動を作り上げていくことを促します。

今回はファシリテーションとその実践者であるファシリテーターの定義や役割までの解説となりました。次回以降でそのプロセスを分解しご案内していきます。

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