2割と8割「話し上手である前に良い聞き役で」

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

自分が2割、相手が8割。

 最近、社内でよく話している数字なのですが、なんの割合かお分かりになりますでしょうか。これはお客様とお話しをする際に心がけている発言の割合です。特に新規でお会いした際に意識しています。しばしば「話し上手は聞き上手」といわれるように、聞き方が上手だと話し上手に見られます。
 20世紀前半に活躍した成功哲学者であり『人を動かす』という書籍で有名なデール・カーネギーに次のような有名なエピソードがあります。少し長いですがお付き合いください。

(あるとき、カーネギーがニューヨークのお金持ちの集まるパーティーに出ると、豪華な衣装の若い女性が近寄ってきました)
「あなたは有名なカーネギー先生ですか?私は人前で話す機会が多いのですが、話すことが下手で悩んでいます。ぜひ、コツを教えていただけませんか?」
「もちろんお安い御用です。その前に奥様、ちょっと耳にしたのですが、アフリカにライオン狩りに行っていたそうですね」
「はい、先月帰ってきたばかりです」
「すごい話ですね。奥様のような妙齢の女性が、アフリカに行くなんてすごいですね。どなたと行かれたんですか?」
「はい、主人と行きました」
「なるほど。さぞかしご主人は勇敢でお強いのでしょうね」
「ええ、もちろん、主人ほど頼もしい人はいませんわ」
「アフリカでのライオン狩りの話をもっと詳しく話してください。ぜひ、お聞きしたいですね」
「目の前5フィートにライオンが迫って来たときには、さすがに主人とともに……」
「それでどうなりました?」
「そこから銃を?」
「すごいですね。どんな感じでした?」

 この女性はなんと1時間近くも、ライオン狩りの話を続けたというのです。そして、帰り際にこの貴婦人が言った言葉は・・・
「さすがカーネギー先生、とてもお話がお上手ですね。楽しく時間を過ごせました。ありがとうございました」
 実は、カーネギー博士はほとんど話してはいないのです。博士は、良い聞き役となってひたすら女性の話を聞いていただけだったにも関わらず、話し上手として評価をされたのでした。

 私は自身も、決して話し上手ではありませんし、スピーチが上手なわけでもありません。しかしながら、自分は2割、つまり常に簡要であることを心がけ、良い話し手以上に良い聞き役であることを大切にしたいと思っています。

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