伝わる褒め方

加藤滋樹のつぶやき

「今日の発表、スライドのまとめ方がとても上手でしたね」

「今日の発表、スライドのまとめ方が上手でとても参考になったよ」

似たような表現ですが、この二つにはどのような違いがあるのでしょうか。

今回はその違いを紐解いていき、相手に伝わるメッセージ、そして褒めるときのポイントについてお伝えしていきます。

承認には、「存在の承認」「変化の承認」「成果の承認」という三つの承認があることを以前に解説しました。そのうちの成果の承認では、相手が褒められることに慣れてしまい次第に反応が薄くなっていく事態におちいることがあります。褒めていることは事実なのですが、事実をあまり受け取ってもらえず喜んでいないという状態です。私自身も「褒めたつもりが、伝わらないな」と失敗を感じたことがあります。

その対処法として活用できる技術が「アイ・メッセージ」と「ユー・メッセージ」です。アイとは英語の”I”、すなわち私のこと。ユーとは英語の”YOU”、すなわちあなたのことです。アイとユーの違いを冒頭の発言に明記してみるとこうなります。

「今日の発表、(あなたの)スライドのまとめ方がとても上手でしたね」

「今日の発表、スライドのまとめ方が上手で(わたしは)とても参考になったよ」

つまり前者がユー・メッセージ、後者がアイ・メッセージとなります。どちらも資料のまとめ方が上手ということを褒めているのですが、ユー・メッセージのほうが垂直、すなわち上から下へ発せられるメッセージ、アイ・メッセージは水平、すなわちお互いの立場を超えて共感の気持ちが伝わっていくメッセージと感じられるのではないでしょうか。

上司が部下を褒めるとき、ほとんどはユー・メッセージになっています。ユー・メッセージを使うときに気をつけなければならないのは、自分の評価と相手の評価は必ずしも一致しないという心理的事実です。例えば、自分ではさほど努力をしなかったことに対して、「とても努力していますね」と褒められても、内心は「いやいや、全然努力していない」と思い、素直に喜べないはずです。そして、逆にお世辞や嫌味に感じることすらあります。

一方でアイ・メッセージは、相手に対する自分の感情や感想を伝えているだけなので、相手が嫌味に感じたり反発することがありません。

次回はこの二つの違いをもう掘り下げつつ、人づくりとマーケティングの観点での応用を考えていきます。

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