会議はどこに向かうのか・・・

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

会議や対話を心地よく、そして意義がある形で進めるためのファシリテーション。そのプロセスである「場づくり」「拡散」「意味付け」「意思決定」「まとめ」の5つの段階のうち、前回は場づくりについてご案内しました。

場の雰囲気が整った後にすべきことは、会議がどこに向かうのかを示すことです。すなわち目的と成果物を参加メンバーにしっかりと共有することが重要です。

目的とは、「明日の商談でお客様の興味をひくために何をご案内すればよいか?」「新製品キャンペーンでは何をするのがよいか?」といったような論点のことです。そして成果物とは、その会議が終了した時点でどうなっていたいのかというゴールのことです。例えば「お客様が知ってお喜びになる項目をピックアップする」「販促キャンペーンの優良アイディア三つを優先順位付けする」など、具体的に設定することがポイントです。世の中の会議の多くは、まず以て目的が無く、もし目的があったとしても成果物が不明な場合が多々あります。このような理由により「時間をかけて議論したけど、よくわからなかった」という状態に陥ってしまいます。

場の空気を整えて、いざ会議を始め、「拡散」の段階に移行したとしても、思うように発言が出ない場合もしばしば発生します。このような時こそファシリテーターの腕の見せ所です。

参加者が発言しない理由は二つに大別されます。それは、「言いたいアイディアはあるが、発言するのに抵抗がある」「そもそもアイディアが思い浮かばない」の二つです。

前者の場合の有効策は会議のグランドルールづくりです。例えば、「反論禁止。良いところだけを見つけよう」「必ず一回は発言しよう」「肩書きは脇において素直に話そう」などです。参加者の特性によってルールは変わってきますが、このようなことをファシリテーターが宣言し、さらにホワイトボードに明記するなど「見え化」することで、発言に対する心理的ハードルが下がり、参加しやすい環境が整えられます。

後者への対応としては、参加者が新たなアイディアを思いつくことができるように、ファシリテーターが「考え方の枠組み」を提供する必要があります。この枠組みを提供するための技術はリフレーミングと呼ばれています。リフレーミングとは、ある物事を捉えている枠組みの視点を変えて物事を見ることです。次回はリフレーミングのコツについてご案内して参ります。

関連記事一覧