議論の枠組みを変える、リフレーミング

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

「アイディアが思い浮かばないために発言が出ない」

そんな行き詰まった時に対応するためのファシリテーターの役割について、今回は述べて参ります。

このようなとき、ファシリテーターは参加者が意見を思いつくように、考え方の新たな枠組みを提供する必要があります。この技術のことを「リフレーミング」といいます。リフレーミングとは、ある物事を認識している枠組みを変えて、違う枠組みから物事を見ることです。

たとえば、コップに水が半分入っている状態を見た場合、もともとは「もう半分しかない」と認識したのに対し、「まだ半分もある」と認識の枠組みを変えて捉えるというものです。

発言が出ずに「シーン」としてしまった場合には、参加者が同じフレーム、すなわち同じ枠組みで論点を見てしまっていることが原因です。そんな時、ファシリテーターは考え方の枠組みを変えるような問いかけを行うことで議論の活性化に挑戦すべきです。

リフレーミングのための問いかけを分類すると次のの三つの視点にまとめることができます。

一つ目は「枠組みを広げる」ことです。それまでに話し合ってきた内容を広げるために、対象範囲を広げてみたり、新しい要素を加える問いかけをします。煮詰まってしまった時に有効です。たとえば、「販路を日本だけでなく、世界に向けて考えてみでは?」「機能の向上だけでなく、アフターサポートも含めて考えては?」といった問いかけが挙げられます。

二つ目は、反対に枠組みを絞ることです。「一点集中」ということばにもあるように、議論の内容を絞ることです。漠然とした話が続いているときに効果的です。「品質、コスト、販路の三つに分けて順番に議論をしてみては?」「プロジェクトチームのメンバー全員を決めるのではなく、今回はリーダーを決める作業に徹しては?」などが挙げられます。

三つ目は「枠組みシフト」です。それまでの議論の内容を変える新しい視点を提供することです。異なる立場、逆転の発想を促すような問いかけをします。客観的に見て議論が誤った方向に行っている際に是正を図ることができます。「当社視点ではなく、お客様視点で考えるとどうでしょうか?」「男性ではなく、働く女性にターゲットを絞って販促を考えてみては?」といった質問が該当します。

今回はリフレーミングのコツについて事例をご案内しました。次回は、出てきた発言を整理していく手法についてご案内いたします。

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