効率的な会議 感情の対立、意見がかみ合わない、意見が言いにくい。そんな雰囲気にならないために

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

 二十四節気でいうところの啓蟄にあたる日が3月5日でした。「大地が温まり冬ごもりから目覚めた虫が穴を開いて顔を出す頃」という意味だそうです。確かに、ひと雨ごとに暖かくなり、日差しも春めく日々を実感しています。
 
 さて、前回から会議や対話において議論を発散させたのちに収斂させる方法、すなわちファシリテーションについて述べてきました。今回からは、私の経験や感じたことを盛り込みつつ、会議の取り回し役となるファシリテーターに必要される技術や考え方について考えていきます。
 
 会議の舵取りとなると、議長や司会者というイメージがあります。一方でファシリテーターが議長や司会者と明確に異なることは、「自分で意思決定をしない」ということです。ファシリテーターには、あくまでも中立的な目線や発言で会議を運営していく心構えが求められます。
 
 なぜ、ファシリテーターに中立的な立場が求められるかといいますと、生産性の高い議論をするためには、議論の中身だけでなく、議論に至る過程が重要となるからです。ファシリテーターが議論の過程をマネジメントするためには、過程の流れに意識を集中させる必要があります。ファシリテーターが他の参加者と同じように、議論の中身について賛成や反対を意識し始めると、「会議という船がどこの方向に向かって進んでいるか」を見失ってしまいます。ファシリテーターは会議の水先案内人として、議論の中身について中立的な立場を保ち、議論のプロセスに集中していくことが求められます。

 感情の対立、意見がかみ合わない、意見が言いにくいといった雰囲気にならないように、効率的に会議のプロセスをマネジメントするためには、会議を「場づくり」「拡散」「意味づけ」「意思決定」「まとめ」という5つのステップに分けて理解し、今どこの段階かを常に意識していく必要があります。前半となる場づくりと拡散は、参加者から積極的に発言を引き出していく発散の段階です。そして、意味付けと意思決定、そしてまとめの段階では議論を収斂させていく作業となります。ファシリテーターは、それぞれのステップを意識しながら効率的に会議が進むように促します。また、各プロセスの必要時間をあらかじめ見積もっておき、時間管理をすることも必要となります。

 次回は、この5つのステップをそれぞれ詳しく考えていきながら、会議の効率的なマネジメントについて深掘りしていきます。

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