相手の可能性を引き出すために、私たち側の心構え

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

人づくりとマーケティングの視点からのコーチング、前回までは相手の中に眠っている素晴らしいモノ・コト・そして思考を引き出していく手法として、拡大質問・未来質問・肯定質問を取り上げました。

さて、ここまでは相手目線で原稿を書いて参りました。しかし、一方で受け止める側である私たちにおいても、認識が乏しければ良い成果は生まれなません。そこで、今回からは、相手に寄り添い共に可能性を導いていくために、私たちに必要な心構えを「耳・目・心で聴く」「相手の話を遮らない」「相手の意見を否定しない」という、三つのポイントに分けて紹介して参ります。

はじめは、「耳・目・心で聴く」についです。私たちは全員、当たり前のように毎日、人の話を聞いています。しかし、そのほとんどは、相手の声は言葉がただ単に耳に入っている状態です。敢えて一旦平仮名で書きますが、コーチングにおける「きく」という行為は、その日常とは全く異なる行為です。前述のことを「聞く」と表すなら、コーチングの場合は「聴く」と表します。

また、「聴く」という漢字の成り立ちを紐解いて見ると、耳・目・心から出来ていることがわかります。まさに、その成り立ちのように、「耳と目と心できく」ことがコーチングにおける聴く、すなわち傾聴の基本となります。

次に、「相手の話を遮らない」ということについてです。人の話を聴くという行為は非常に体力がいります。そのため、「相手が変なことを言っているな」と感じた瞬間から、その話を聴くことを苦痛に感じることが、私を含めて誰にでもあるのではないでしょうか。とくに、上司と部下との対話の場合、上司のほうが力関係が上ですので、「その話は、今は関係ないだろう!」とピシャリと話を遮ってしまいがちです。もちろん、的外れな話をする部下にも悪い側面がありますが、話を遮られる経験を繰り返してしまうと、部下は「自分の話を聞いてくれない」と感じてしまいますそして、次第にコミュニケーション回数が減らしてしまい、部下の能力や可能性を最大限に引き出していくことはますます難しくなっていきます。

まずは、どんな話題でも最後まで聴くという姿勢が相手に安心感を与え、信頼関係を向上させていくスタートラインといえます。

今回は文字数の都合でここまでといたします。次回はお喋り好きな人にありがちな光景、そして「相手の話を否定しない」という理由について紹介していきます。

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