現代社会において、なぜプラグマティズム(実践主義)が求めらられているといえるのか
季節は立春を過ぎました。旧暦では、一年のはじまりは立春からと考えられていました。現実には、まだまだ寒い日が続きますが、梅の花が咲き始め徐々に暖かくなる、そんな春の兆しがところどころで見られることを心待ちにしたいものです。
さて、前回はプラグマティズム(実践主義)について、その歴史の変遷を紹介した上で、「物事は思考の中にはなく行動そのものの中」にあり、また「行動の結果検証によって常に物事の基準は変化していくべきである」ということを述べました。今回は、現代社会を振り返りつつ、「なぜ、プラグマティズムが今の時代に即している考え方なのか」ということについて考えて参ります。
はじめに、現代社会が進んでいく際の傾向からの視点です。
グローバル化や多様性が進む社会環境の中では、国や民族、地域ごとによる文化や習慣の違いをあらゆる場所で見ることができます。多様な価値観が存在する中で、一つだけ絶対的な価値観というものはありません。また、価値観をたった一つに絞って、それに人類全員が従うことにも無理があります。自分の価値観を過度に主張するわけではなく、それぞれの価値観が手を携えて共存できるような行動様式が大切であるといえます。
加えて、地球全体の環境問題を考えていく問題においても、プラグマティズムの領域であるといえます。人類を頂点とした開発の歴史の結果が、現代において環境保護の必要性に迫られる状況を生んでしまったといえます。SDGsに代表されるように、人類だけではなく、あらゆる動物や植物が永続的に生きていくための視点を取り入れ、豊かな環境を継続していくための行動や取り組みが世界中に広がってきています。
ほかにも、「ナンバーワンよりもオンリーワン」という言葉が流行ったように、精神面での援助を意味するメンタルケアの領域では、一つの信念や既存の選択肢にとらわれない柔軟な両方が取り入れられています。
また、私の長男の小学校での授業の様子をみていても、教科書に書かれたことを受動的に学ぶだけでなく、マインドマップを活用したり、チームでの調べ学習を行ったりと、現実の問題から考えられる事例を研究していく、アクティブ・ラーニングが実施されています。
これらには、すべてプラグマティズムの考え方が用いられています。多様性の受容が否応なしに求められる現代社会ではプラグマティズムが受け入れられ、その機能を発揮しています。
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