PEST分析/調査をせずに市場参入を試みるのは、目が見えないのに市場参入をしようとするようなもの

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

水不足が心配された早期の梅雨明けと酷暑とは一転、全国各地で大雨の報道が続いております。
皆様のご関係の地域において被害が無いことを祈るばかりです。

さて、前回の拙稿では、「素直な気持ちで顧客を理解し続ける」ことがマーケティングに対する基本的な心がまえであることを述べました。また、戦略を考える際に用いられる「3C分析」としてCustomer(顧客)、Company(自社)、Competitor(競合​​)を紹介しました。

本日は、その中でも最も重要視したいCustomer、すなわち顧客や市場について探求していくための代表的なフレームワークをご案内いたします。

顧客や市場を取り巻く時代の潮流を捉えることは、私たちにとって必要不可欠です。景気、技術革新、法規制といった外部環境の分析が有効です。鳥の目で物事や世の中の流れ、将来を俯瞰し、経営に大きな影響を与える環境を知ることは私たちのみならず、世の中の発展のためにも有益なことです。

そして、今回紹介するPEST分析とは、これらの環境を網羅的に分析する方法です。

PEST分析とは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)という4つの視点から分析することから、それぞれの頭文字をとり「PEST」と言います。このPEST分析は、経営学者でマーケティング研究の第一人者である、フィリップ・コトラー博士が提唱したものです。

コトラー博士は代表的名著である『コトラーの戦略的マーケティング』において、「どのような価値を提供すればターゲット市場のニーズを満たせるかを探り、その価値を生み出し、顧客に届け、そこから利益を上げることができるか」と述べ、顧客や市場のニーズが利益の源泉となることを示唆していました。また、その前提として「調査をせずに市場参入を試みるのは、目が見えないのに市場参入をしようとするようなもの」と言っているように、環境分析の重要性を説いています。

成功した企業、商品、そしてサービスは、必ず世の中の変化や流れを味方につけています。「経営者は環境適応業」ともいわれるように、外部環境の変化にともない自らの組織や考え方を時代に即したものへ変えられる者のみ、生き残ることができます。意志決定権を持つ私たちこそが、素直な心で市場環境を理解したいものです。

次回は、PEST分析を実際に使うイメージについて、現場で有用な「問い」を想定しながら見ていきます。

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