冬至を過ぎ、週末にかけてクリスマス寒波が訪れています。まさに冬本番の気候となりました。

先般よりアイゼンハワー・マトリクスを取り上げています。今回は一年の締めくくりということで、「どういう目的で思考の整理に臨んでいくか」という、根本的な部分について、三つの視点に目的を分けて考えてみたいと思います。

一つ目の目的は「観点の多角化」です。緊急・重要の二軸で判断していくためには、自分が所属する組織の外や社外の情報が不可欠です。他者の様子や世の中の流れを意識できることにより視点が多角化でき、優先順位をつけることにも役立ちます。自分本位ではなく、相手があってこその仕事です。他者との関わり、世の中の関わりの中から判断することは、何から着手するかという選別精度の向上に役立ちます。

二つ目の目的は「問題解決力」です。緊急・重要の二軸で分類していくためには、今起きている課題の本質を見抜き、解決策を立てていく必要があります。本質的な問題、つまりリーダーが立ち向かうべき「重要かつ緊急でない問題」を解決に導いていくことは、中長期の組織の方向性を決めることと同義です。施策の計画や効果を検討していくことは、問題解決力をつけるための絶好のトレーニングとなります。

三つ目の目的は「決断力の向上」です。私たちは、限られた時間の中で日々の決断を行う必要に迫られます。会社の方針や世情を鑑み、限りある時間の中で課題に立ち向かっていくためには、入手できる情報の中から最適と思われる施策を取り上げ、採否を決断することが必要です。どのような役職にあろうとも、緊急・重要の二軸のどこに課題を置くかという選択は、誰かに任せることができません。誰かに判断や決断を任せてしまう傾向がある人には、自分で判断を下す能力を得ていく絶好の実体験の場となります。

結局のところ、視野を広く持ち、課題解決に立ち向かい、最終的には決断していく勇気を得ていくしかありません。時代の機微を見て判断することは、ある意味、勘所でもあるのですが、それをどのような視点でとらえ、整理していくかという論理思考も重要となります。

本年の拙稿は今回が最後となります。この欄のご縁をいただき五年がたちました(※)。続けてこられましたのも、ご覧いただいております方々のおかげです。

皆さま方にとりまして明くる新年がより良きものとなりますよう、本年の御礼方々お祈り申し上げます。

※注:本稿は中部経済新聞(毎週土曜日)紙面へのエッセイ寄稿を加筆修正して掲載しております

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