不確実性を受け入れる力「新しいことや曖昧なことへの挑戦」

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

まだ世の中に存在していない製品やサービス、価値をつくり出すことを意味するビジネス特有の用語である「ゼロイチ」。前回は、ゼロイチに立ち向かっていくことができる人たちの資質を六つに分類し、そのうちの一つ目「逆境を楽しむ力がある」を詳しく述べました。

 今回は二つ目以降について取り上げたいと思います。

 二つ目については「机上ではなく実行しながらPDCAを動かす」ことができる資質です。実行しながらPDCAを回していく。このような自律的な人は、主体性はもちろんのこと現場を着実に回していくマネジメント力があるといえます。この特徴をもつ人たちは、新規事業を開拓していくときの旗振り役として行き先を切り開いていく中心的な立ち位置を担うことができます。

 三つ目は、「自らの手を動かせる」ということです。前述の自律性は、リーダーとしてプランニングや指揮命令をするだけでなく、実現するために自らが手を動かすことができる力ともいえます。まだ何もない段階から生み出していくフェーズでは、人的・費用的な資源が制限されていることが多く、自分の汗も含めてあるもので成果を創り出していかなくてはなりません。各々が自分の役割のみに固執することなく、担当する領域を超えた行動力が求められます。

 三つ目は、「コスト意識を持てる」という力です。新規事業では人的な資源や予算が限られている場合がほとんどです。その中で最速で商品やサービスのリリースまでこぎ着けようと思った場合、当然、人も予算も効率的な配分が求められます。特に、予算の使い方を誤ってしまい、途中で物事が頓挫してしまわないように、コスト意識を持ってPDCAを回すことが重要です。

 四つ目は、「新しいことや曖昧なことへ挑戦できる」という力です。これが、本日いちばん伝えたかったことです。新しいことや曖昧なことに果敢に挑戦できる人は、不確実性に対して不安よりも好奇心が優っています。このような資質をもつ人は、予測できない未来に楽観的で、物事がどのように転がっても受け入れられる度量と柔軟性を持っています。新規事業の可能性は初めて見ないと分からないことが多いことも現実です。始めてみないことには失敗するかどうかもわかりません。イチに近づく直前、事業を実現させる直前でしかわからないこと、リリースしてみないと分からないことも多々あります。だからこそ、挑戦してみることに尊い価値があります。

関連記事一覧