会議での時間管理
二十四節気でいうところの穀雨を過ぎました。変わりやすかった早春の天気も安定し、日差しがありがたい日々を感じています。
さて、「議論におけるファシリテーション」前回は主体的かつ行動を伴った意思決定について述べました。しかしながら、「時間が足りなくなってしまい、物事を決めることができなかった」ということはないでしょうか。
会議での時間管理は、すべてがファシリテーターの思い通りにはいかないものです。特に拡散の段階で思いのほか盛り上がったり、難しい議題のときなどは時間が足りなくなってしまうものです。しかし、せっかく貴重な時間を使って集まったにもかかわらず、「時間がなくなりましたので、次回改めて議論しましょう」では、もったいないものです。また、その形で次回集まったとしても「前回の内容を忘れている」「再確認からスタート」「議論の再会」「盛り上がるがまた時間が無くなる」「意思決定までたどりつけない」という悪循環に陥りがちです。
それでは、どのようにすればこの事態に対処できるのでしょうか。端的に思いつきそうなのは、「あらかじめ、長い時間を確保しておく」ということですが、残念ながら時間が増えてもこのような事態の根本的な解決にはなりません。
その答えは前々回に述べた「合理的な判断基準」にあります。なぜそれが必要なのかというと、参加者の納得感が得られ、スムーズに意思決定をしていくことができるからです。ここに、時間が足りないときの対処法のヒントがあります。つまり、時間が足りなくなった時の意思決定の方法について、あらかじめ参加者の合意を得ておくことです。たとえば、「終了3分前までに合意形成ができない場合は、●●部長に決裁を一任する」というものです。
ここでのポイントは、グランドルールに加えるということです。会議が進み遅くなりそうだと感じてから以上のような提案をしたとしても、反発が生まれる可能性があります。また、参加者は「そんなことなら部長が全部決めればいいじゃないか」という不快な気持ちになってしまうかもしれません。しかし、グランドルールに組み込んでおけば、「最善の努力をしたが時間が仕方がない、部長に一任しよう」という納得感を得ることができます。また、「次回への持ち込みは無し」ということにもなるので、参加者の時間に対する意識も高め、集中力を持って議論できるという効果もあります。