抵抗する人たちの意見に反論を与えるのではなく、一度受け入れる

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

暦の上では立夏を過ぎました。夏の始まりといわれており、新緑きらめくさわやかな日々を感じています。

さて、会議や対話におけるファシリテーション、今回は「いくら合理的な意思決定であっても反対する人がいる」という課題について考えてみたいと思います。

進化論で有名なイギリスの自然科学者、チャールズ・ロバート・ダーウィンが「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が残るのでもない。唯一、生き残るのは変化できる者である」という名言を遺しているように、「変化する」「変化を受け入れる」ということは、仕事においても人生においても大切な要素です。しかし、変わることへの恐れから、変化を受け入れられないのが人間というものでもあります。そういった人たちの心の底からの抵抗は想像以上に根深いものです。そのため、意思決定の際に、いくら合理的な基準を用いたとしても「一部の人たちが合意しない」ということはどのような場面でも見受けられます。

そんなとき、意思決定を見える化して理解を促すために用いたい表が「ペイン・プレッシャー・マトリクス」です。この手法は、「変わらない喜び(メリット)と変わることへの痛み(デメリット)」に固執している参加者意識を、「変わらないことへの痛みと変わることへの喜び」に転換させるものです。


 (ペイン・プレジャー・マトリクス) 
 

使い方は次のようなものとなります。まず、図のように、縦軸に「変わる/変わらない」、横軸に「痛み/喜び」というマトリクス表を作成します。続いて、Aの領域に「変わることによる痛み」、Dの領域に「変わらないことによる喜び」を書きます。そののちに、参加者を対話を続けることで、Bの領域である「変わることによる喜び」とCの領域である「変わらないことによる痛み」に関するコメントを書きます。

重要なのは、はじめに抵抗する人たちの意見に反論を与えるのではなく、一度受け入れるということです。彼らの頭の中には、変わらなくて済むための理由として、変わることへの痛み(A)と変わらないことへの喜び(D)が満載ですので、多くの意見が出てくるものと想定されます。

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