答えは現場、答えは相手にある。質問型のコミュニケーションとしてのコーチング

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

 立秋を過ぎました。暦の上では秋となりますが、実際は厳しい残暑が続いており週末からの台風の動向も気になるところです。

 さて、前回より取り上げております、自発的に答えや考えを引き出すコーチングの能力。今回は人づくりやマーケティングの視点から、この能力が求められる背景について整理してみたいと思います。

 私が社会人になりました2000年代初頭は、まだまだ環境変化がさほど早くなく、ビジネスサイクルも今よりは長期でした。例えば人事異動があったとしても「前任者がやっていた事項を記した引き継ぎ書を丁寧に辿っていく」といったような能力が求められていました。このような時代には、答えが決まっており、ある程度将来が見込め、計画通りに物事が進むことが多かったことと思います。そうした環境の中で成果を得るためには、上位下達で指示や命令が下される統率型の組織が便利でした、統率型の組織で管理職に求められる役割は、答えを指示し、忠実に実行されているかチェックすることです。

 しかし、答えの無い今の時代では、このような指示命令型のコミュニケーションは通用しなくなりました。なぜならば、管理職自身も指示する答えが分からない、さらに言うならば正解が分からないからです。できることといえば、それまで自分が答えだと思っていたことを頑固に信じ続けるか、考えることを放棄して「あとは任せた」と賭けに似た決断をすることです。

 それでは、答えはなくなってしまったのでしょうか?正解はなくなってしまったのでしょうか?

 実は私はそうは思いません。絶えず変化し続けていますが答えは現場にあります。そのためにも、現場から答えを吸い上げ、受け取り、迅速に変化に対応していくことが求められています。「年齢を得たら学びは終わり」「役員になったら学びは終わり」というわけではなく、いくつになっても、どんな役職であったとしても常に学んでいくモチベーションが必要です。

 今後は、現場から答えを吸収し続ける役割とその能力がリーダーには求めらていきます。そして、この能力は指示命令型のコミュニケーション技術では不可能です。

 現場とともに悩み、ともに寄り添いながら答えを引き出していく、質問型のコミュニケーションが必要となってくるのです。そして、この質問型コミュニケーションを実践するために役立つのが人づくりとマーケティングの視点からのコーチングであるといえます。

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