ビジネスの現場でのアイ・メッセージ

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

早いもので、立冬を過ぎ暦の上では冬となりました。日も短くなり、木立ちの冬枯れが目立つようになってきました。

さて、人づくりとマーケティングの視点でアイ・メッセージとユー・メッセージを取り上げておりますが、今回からはマーケティング、お客様に対する視点で考えて参ります。

お客様は商品やサービスをご購入をされる前に、必ず迷いが生まれます。本当に自分に対して必要かどうか不安に感じるからです。高額の商品やサービスであればあるほど、当然、決断に躊躇します。その時、その商品やサービスの可能性を信じている私たちは、お客様の背中を押し、お客様のご決断を手助けして差し上げる必要があります。

そして、その際にどのような言葉で声をかけるのかが重要になります。このときに参考になるのが、アイ・メッセージとユー・メッセージの考え方です。改めての復習になりますが、アイ・メッセージとは「私」を主語にして相手の行動を動かす伝え方です。相手が行動することで自分がどう感じるかを伝えることで、相手の自主性を促します。例えば、家庭の中でエアコンの温度が高すぎる場合に、アイ・メッセージを活用すると「暑いのでエアコンの温度を下げてくれると、(私は)勉強に集中できるので助かる」となります。「エアコンの温度を下げる」という行動を直接促していないため、相手は指示されたという印象や強制感を抱きません。

一方でユー・メッセージで同じ表現をすると「エアコンのが暑いので、(あなたが)温度を下げてくれ」となります。これは、「あなた」を主語にする伝え方です。相手の行動をそのまま表現する方法で、批判や命令をする際に無意識に使われてしまいます。これでは相手が行動することはあっても、心を動かすことはできません。

アイ・メッセージとユー・メッセージには受け取る側の感情に大きな違いがあります。どちらを主語として話をするかにより、相手が受ける印象を大きく左右します。

そして、お客様との対話においても、この考え方を流用し、相手の自主性を尊重した上での行動を促すことができます。例えば、ご決断をいただくこと前提としてアイ・メッセージを用いて自分の感情を伝えます。そうすることで、お客様の自己肯定感が高まり、ご決断に近づいていきます。

次回は具体例を紐解きながら、お客様に対するアイ・メッセージとユー・メッセージについて考えていきます。

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