言葉を発する人の迫力や重厚感

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

二十四節気でいうところの「雨水」を過ぎました。降る雪が雨に変わり雪解けが始まる時期です。数日間は暖かい日が続くようですが、私自身は花粉症に悩まされる日々が続きそうです。

さて、前回はプラグマティズム(実践主義)をどのようにコミュニケーションに活かしていくかをテーマとして、「耳を傾ける」「共通点を探す」「目的を頭に入れておく」「分からないことは素直に聞いてみる」「直接話す」という5つの行動指針を紹介しました。

今回は、プラグマティズムを日々の思考の中で活かしていくためのケーススタディについて考えてみたいと思います。

ここでは、一例として「彼は頭が良いね」という言葉について考えます。この言葉を聞いたとき、非論理的な表現が苦手な人、非数値的な表現が苦手な人は、瞬間的に以下のように返答したり、場の雰囲気を乱さないために発言しないまでも以下のような考え方をするかも知れません。

「彼が頭が良いというのは、主観的な判断であり数値で示されていない。客観的に判断する指標を決めなければいけない。彼のIQ(知能指数)のスコアについて教えて欲しい」
 確かに、主観的な判断である「頭が良い」よりは「IQのスコアは160点です」のほうが、実践的に活用し易い指標といえます。

しかしながら、この思考について私はプラグマティズムの曲解であると捉えます。プラグマティズムの考え方を用いながら「頭が良い」ということを理解することは、「頭が良い」ということがどのように働いているかを物事の現場で見ていくことに他なりません。

「IQが160点」のように一見、現実的に物事を表現することは浅い思考であり、本質は「頭が良い」という言葉がどのような場面で使用されているかを考えることにあります。プラグマティズムは現場で実践され、結果がどうであったかに着目することなのです。つまり、「頭がいい」という言葉が「行動と結果を伴わない想像のみの対話」で完結しているのか、それとも「行動と結果に基づく現実の上での対話として、双方が共感し合っているのか」ということが重要なのです。

私自身にも反省があるのですが、一見、論理的、実践的に話しているつもりが、実際は現場での感覚という実践的な背景に乏しいということはないでしょうか。言葉を発する人の迫力や重厚感は、真にプラグマティズムを理解し、日々の現場で実践しているかにかかっているといえます。

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