松下幸之助が仰った「天地自然の理法」

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

早くも夏の盛りを感じる日々が続いております。急に暑くなってきましたので、体調を崩さないように気をつけたいものです。

さて、前回の拙稿では、松下幸之助と二宮尊徳の考え方からみた永続経営をテーマとしつつ、二宮翁の「経済なき道徳は戯言であり、道徳なき経済は犯罪である」を取り上げました。

二宮翁がその両立を喝破した「道徳」と「経済」とは、論語と算盤であり、「人づくりとマーケティング」ともいいかえることができます。どちらかに重きをおくことなく、両方を重視することが永続経営には大切です。

また、永続経営に立ち向かっていくために、どうしても忘れてはならいのが人としての生き方、経営者としての判断軸の一貫性です。その一貫性を一言でいうならば、松下幸之助が晩年に仰った「天地自然の理法」ということができます。「天地自然の理法」を一言で簡潔にお伝えするのは難しいのですが、私なりの解釈も交えながら試みたいと思います。

松下翁が晩年に記した『実践経営哲学』の中には、「自然の理法に従うこと」という項目があります。ここでは、冒頭に「経営とはまことにむずかしい」といった後に、「考えようによっては、経営とはきわめてやさしいともいえる」とも伝えています。その後、松下翁自身の大きな成功の要因として「天地自然の理法に従うこと」を答えています。天地自然の理法というと難しいように聞こえますが、これは、「雨が降るなら傘をさす」というように、「当然のことを当然にやっていく」という経営の考え方です。なすべきことをなし、なすべからざることをしないということを心がけるということです。

 「限りなき生成発展というのが、大自然の理法」であることから、自然の流れに沿った生き、自然の流れに沿って経営の舵取りを行うことが「生成発展」への道といえます。

小生自身も失敗することが多々あるのですが、自身の些細な知恵や才覚だけで何とかしようということは、自然の理に反するような無理をすることがあり、失敗に繋がります。もちろん大いに学び、実践を積み重ねてリーダー自身が知見を深めることは一面では大切ですが、松下翁のいうように「人知を超えた大きな天地自然の理に従って経営をしていく」ことを生きかたの土台とすることが大切です。

永続経営とは、適切な利益を得て、次代に投資し、世の中の発展に尽くすことです。そして、その秘訣は「天地自然の理法に従う」ことといえます。

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