PEST分析と機会・脅威との関係
自社を取り巻く政治的要因(Politics)、経済的要因(Economy)、社会的要因(Society)、技術的要因(Technology)の4つの要因から外部環境を分析するPEST分析について、前回は海外展開の事例を紹介しました。
前々回の国内事業、前回の海外展開については、私たちの会社においても考えてみました。その結果や取り組んだ感想をもとに、改めてPEST分析を現場で行う際のポイントについて整理をしていきます。
一つ目は目的を明確化するということです。PEST分析を行うことで、様々な知見を集めて市場の変化を先読みすることができますが、分析自体が最終的な目的ではないはずです。たとえば、外部環境の変化に応じて事業を見直したり、主力製品や主要取引先のみに依存しないような体制づくりを行ったりするなど、自社の状況を踏まえた目的を掲げたうえで、PEST分析を行うことが肝心です。
次は、機会と脅威に分けるということです。単にマクロ環境を分析し将来を予測するキーワードを羅列するだけでは、役に立つ知見が体系化されることはありません。政治・経済、社会・技術に分類した要素を機会と脅威に分けて捉えることが大切です。同じ一つの要因でも、機会になるのか脅威になるのかは立場によって異なります。例えば昨今のコロナ禍も、飲食店にとっては脅威ですが、宅配サービスにとっては機会となりました。
最後に、「ピンチはチャンス」「難有りは有り難し」とも言われるように、脅威を機会として考えることはできないかを考えます。また、その逆も然りです。現在は機会であっても実は何かの拍子に脅威に変わってしまうこともあります。四つのカテゴリの要因について、「脅威を機会に変えられないか」「機会は脅威に変わってしまうことはないか」などを考えます。そして、考えられる機会と脅威について、緊急度、重要度から優先順位を付け、事業戦略に反映していきます。
事業が伸長していくか否かは、ある程度はマクロ環境に依存しています。コロナ禍のように、誰もが予想し得ないことは起こりますが、マクロ環境を俯瞰し深く捉えていくことで予想がつく事象もあります。先行きが不透明だからこそ、PEST分析によって、市場に潜むチャンスやリスクを捉えることが重要になってきます。このフレームワークを用いて、社内で議論を行い、先手を打つ判断を取ることが大切といえます。
当社コラムをご覧いただきありがとうございました。
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