リーダーの役割「感情の受け取り方の自由を伝えていく」

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

「起きたことは一つであっても、受け取り方には自由がある」

 前回は事実と感情の関係性について書きました。

 仕事においては、なるべく自分の感情を抑えたりひた隠したりして、論理的に考え、理性を持って行動することが良いとされ、感情をあからさまに表に出すことは見苦しく控えるべきという考え方が一般的になっています。私自身も、物事を論理的、合理的に考えていけるように、いわゆる戦略性というものを学ぶといった自己啓発にも取り組んできました。また、お取引先との対話においては、ロジカルシンキングの要素を盛り込んで、できる限り真因にたどりつけるような努力をしています。

 もちろん、この論理的、合理的な考え方やファシリテーションは重要なのですが、現場においては、明らかに「そうではない」と思われる意思決定がされている場面に遭遇することもあります。

 チームの人たちに生き生きと仕事をしてもらい、より少ない時間でより大きな成果をあげていくことがリーダーの務めです。しかしながら、他者であるチームのメンバーを生き生きとさせることが難しく、世の中の多くの方たちも悩まされています。

 「自分の考えや想いがメンバーに伝わらない」

 「受け身ではなく積極的に行動してほしい」

 「組織を活性化させたい」

 このようなことはよく聞く話であり、この背景には、チームの人たちの感情や組織の培われてきた風土といった要因が複雑に絡み合っています。

 人や組織は理屈どおりに行動するものではありません。もちろん、論理性が大切だとは思っていても、多くは意識せずとも感情や想い、価値観といった非常に曖昧で「見える化しづらい」ものが行動発露の元となっています。

 冒頭に書いた「仕事においては、なるべく自分の感情を抑えたりひた隠したりして・・・」というように、感情を理解することは無理だといって切り捨てることはなく、自分の感情、相手の感情に目を向けて、より良い結果につながるように適切にマネジメントすることが、必要です。

 「起きたことは一つであっても、受け取り方には自由がある」

 感情は人やそれぞれ、場面ごとに違いますからこそ、コミュニケーションの質や頻度といったものを今一度振り返ることで、まわりの人たちやチームのメンバーなどに「感情の受け取り方の自由」を伝えていくことが必要なのではないでしょうか。

関連記事一覧