PEST分析/海外展開を検討する際の問い

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

暑い日々が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

前回の拙稿では、経営学者でマーケティング研究の第一人者であるフィリップ・コトラー博士が提唱したPEST分析を構成するについて、それぞれの変化が考えられる要素を取り上げたのち、日本国内における事業展開をする際に用いるPEST分析の問いをご案内しました。質問事項を書いている私自身が、当社の在り方を考える上で、大変学びになりました。

さて、今回は海外展開をする際に事業分析に用いる「問い」について考えてみたいと思います。

Politics(政治的要因)
・政権交代時に大きな方針転換のリスクはあるか
・法人税率はどうか、外資規制や外資優遇はあるか、外国人の代表者の設置は可能か
・デモやクーデターが発生する恐れはあるか
・知的財産を保護する法律はあるか

Economy(経済的要因)
・経済成長率はどの程度か、政府が発表する経済成長率は信頼できるか
・中間所得層は何パーセントか
・賃金水準はどの程度上昇する見込みか
・一人当たりのGDPはいくらで、どの程度の金額の商品が売れるのか。

Society(社会的要因)
・人口規模はどのくらいか、労働者人口はどれくらいいるか
・人口ピラミッドの形はどのようなものか、人口ボーナス期はいつ頃までつづくのか
・消費地としての可能性はあるか
・自社の商品をどう加工すれば文化的・宗教的に受け入れてもらえるか
・イスラム教における豚・アルコールを含む食品を避けるハラール認証は必要か
・教育レベルはどうか

Technology(技術的要因)
・インフラの整備状況はどうか、交通渋滞がひどく物流に滞りがないか
・停電が発生するための自家用発電機は必要か
・インターネットは高速で使用できるか
・スマートフォンの普及率はどの程度か
 私たちの会社において、海外企業との連携を考える際に、一番最初に調べるのはE(経済的要因)でご紹介した現地国の「一人当たりGDP」です。たとえば、インドネシアですと$3800です。この値は、日本の高度成長期に該当し、1973年ごろと同じ数値です。また、カンボジアは$1500、ミャンマーは$1400なので1968年ごろと同じ値になります。このように一人当たりGDPについて、日本の推移の値と現地国の現状を比較をしてみると、現在の就労状態や社会インフラの様子、将来の伸展の可能性について想像することができます。

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