しっかり時間をとって全体を把握することを避けていては、今の仕事を改善したり変えたりすることは難しい
業務を重要度・緊急度の二つの軸で評価し、優先順位付けを行う「アイゼンハワー・マトリクス」を取り上げています。
何度も申し上げているように、リーダーは「重要度は高いが緊急度が低い」という、いわば戦略的領域に注力しなければならないのですが、私自身も普段感じていることは「重要度は低いが緊急度が高い業務が避けられない」「重要度が高いが緊急度が低い業務に注力できない」という理想と現実とのジレンマです。そこで今回は、この二つの課題について考えてみたいと思います。
はじめに「重要度は低いが緊急度が高い業務が避けられない」という課題です。
ちょっとした問い合わせや資料の回覧、電話対応など、重要ではない業務に私たちは意識を奪われがちです。重要度の定義を理解していないこと、「緊急」と言われると断る理由を探しづらいといったことが理由としてあげられます。重要度を決定する基準が組織の中で理解されていれば、急に何かが飛び込んできても、他と比較し判断できます。しかし、それがないと「一から十まですべて大事!」ということになってしまいがちです。
次に、「重要度が高いが緊急度が低い業務に注力できない」という課題です。人材育成や新規事業立案に関するリサーチなどがこれに該当します。直近では手がけなくても問題になりませんが、手をつけずに数年が経つと大きな問題になってしまうことです。では、これらが「今日一日くらいやらなくても良い」「今日は時間がない」と判断されてしまうのはなぜでしょうか。それは期限が決められていないからです。私たちはどれだけ目標の大切さを理解したとしても、期日が無ければ中々手がつけられません。新年に「ダイエットをする」という目標を立てても、毎年達成できない理由は期限を合わせていないからです。期限がないとどうしても、「今日はいいか」「今月はいいか」となりがちです。
以上をまとめると、「重要度を明確化し、共有する」ことと「重要な業務には期限を与える」ことが必要不可欠であることがわかります。生産性向上に知見の深い米国のデビッド・アレン博士が「しっかり時間をとって全体を把握することを避けていては、今の仕事を改善したり変えたりすることは難しい」といっているように、忙しい時ほど、業務があふれかかっているときほど、一旦立ち止まり、業務全体を見える化し、優先順位付けの作業をすることへの大きな意義があるといえます。
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