良い聞き手の秘訣「相手の立場にたって対話をする」
良い話し手以上に良い聞き役であること。前回の拙稿ではデール・カーネギー博士と淑女とのエピソードを引用しつつ、相手との対話、とくに初回においては、「自分が2割、相手が8割」という発言の割合が大切であることをご紹介しました。
そこで、今回は良い聞き手とはどういうことかについて、改めて考えてみたいと思います。
はじめに、先週のカーネギー博士と淑女との話の中でも伝わってきたことなのですが、相手に対して興味を持っていることを伝えることは、本当に大切なことです。興味はあったとしても、それが表にで出ていないと伝わりません。実は興味があったとしても、相手の発言に対してシンプルであっさりとした返答をしてしまうと、相手には興味がないように伝わってしまいます。相手が「話していることに、この人は興味がないのだな」と思ってしまった瞬間に、相手の心理は萎縮してしまい、深く広いところまで話が行き渡ることがなくなってしまいます。したがって、適切なタイミングを見計らいつつ、相手の話に対する質問をしたり、自分が興味をもっていることを言葉や態度として相手に伝えてたりしていく必要があります。
つづいて、自分もよく陥ることなのですが、リーダーが気をつけたい点を書きたいと思います。それは、良い聞き手というものは、相手の話をさえぎったり、途中で自分の話を差し込んだりしないということです。私自身も、どうしても途中で自分の話などを入れ込んでしまいたくなります。しかしながら、そうすると相手の自分に対する信頼感が下がってしまい、結果的に話を引き出すことが難しくなってしまいます。相槌や適切な質問、コメントをしながら、最後まで「聞き切る」ことが重要といえます。
最後は技術的な視点です。相手の動きや姿勢に合わせることをミラーリング効果と言います。このミラーリング効果によって、相手に親近感を抱いてもらうことができます。また、動きや姿勢と同じように、話し方の間やリズムに合わせることをペーシング効果といいます。このペーシング効果も親近感を抱いてもらうことができます。相手に積極的に自己開示をしてもらうためには、話し方の強弱や身振り手振り、間などを合わせていくことも有効な技術といえます。
以上をまとめてみると、相手の立場にたって、どのように対話をされたら嬉しいかを考えることが、良い聞き手として信頼感を得ていくための心構えであるといえます。