経営方針と全体最適のつながり

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

先日来、話題に触れておりますマネジメントにおける全体最適。その対義語である部分最適の状態から、全体最適に脱却していくためにどうしたらよいのか。今回は、自分の経験を振り返りながら、具体的に三つのポイントを書いてみたいと思います。

 まず一つ目は、自社の外部環境や経営に関する情報、会社全体の方向性を理解した上で、いま自分がやらなければならないことは一体何なのか、本当にやるべき自らの役割や課題について、常に自律的に検証と再設定を行う習慣をつけることです。

 次に、再設定をした自らの役割や課題について、職場のリーダーや仲間、他部門、そして取引先や社外の人たちを巻き込みながら協働していく関係性をつくることです。その中で最も大切なのが、「会社が向かっている目的地の道程において、私たちのチームにとって共通となる方向性は何か」を一緒になった追求していくという姿勢です。つまり、会社の方向性を理解した上で、「どこに向かうべきなのか」「現場の中で今、一番の優先事項はなにか」という、目指す目的や重要課題をしっかりと議論することです。各々が正しいと思っている事柄だけを追求すると部分最適になりがちですが、それらに対して会社の方向性を踏まえた重要性や緊急性などの優先順位を付けることで、互いの「正しさ」を否定しなくても関係性を変えることができ、組織の壁を壊していくことにつながります。

 そして最後、三つ目となるのが、何度も私の原稿で述べているように、その「会社が向かっている目的地」を明確化することです。多くの企業の現場では、経営方針が「曖昧で分からない」という状況を放置してしまっているか、もしくは経営方針が存在していたとしても形骸化している状況です。これではいつまでたっても会社の全体像は伝わらず、部分最適からブレイクスルーをすることはできません。

以上が解決できるならば、組織全体のベクトルが次第に合っていき、全体の最適化が進みます。経営環境が激変する中であっても、多くの企業、多くの人たちが変革をできずに苦労してきています。企業経営にとって、今まさに求められているのは、そういった社会や組織の全体を見て、自らの仕事を最適化できるリーダーです。そして、経営方針に向け、社員一人一人の仕事が全体最適化されることで、会社の利益につなげるために必要な仕事と無駄な仕事が整理され、組織全体の生産性は高まるようになると実感しています。

関連記事一覧