変革ができるかどうかの判断軸

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

前回より、意思決定を見える化して理解を促すために用いる「ペイン・プレッシャー・マトリクス」の紹介をしております。この表の目的は、「変わらない喜び(メリット)と変わることへの痛み(デメリット)」に固執している参加者意識を、「変わらないことへの痛みと変わることへの喜び」に転換させるものです。

重要なのは、はじめに抵抗する人たちの意見に反論するのではなく、一度受け入れるということです。彼らの頭の中には、変わらなくて済むための理由として、変わることへの痛みと変わらないことへの喜びでいっぱいのため、たくさんの意見が出てきます。

それでは、具体的な対話の順序について「製品の価格を上げる営業改革」という例を交えながら4つのステップで示していきます。

はじめに、変わることによる痛み(A)については、「価格を上げることによる既存顧客からのクレーム」「提案資料を一新する作業」「一時的に売上が減少する可能性がある」などがあります。現実的には痛みを伴わない改革というものは少ないので、変わることによる痛みをしっかりと洗い出すことで変革に乗り気ではないメンバーの声を受け止めることができます。

次に、変わることによる喜び(B)について話し合います。「この営業改革が上手くいった場合、どのような喜びが得られるか?」ということです。例えば「顧客数を追うことよりも、サービスの質を追うことに専念できる」「ブランド価値の向上に向けた取り組みを実践できる」などです。

3番目には、変わらないことによる痛み(C)について話します。現状維持をすることによって生じる痛みと危機感がテーマとなります。「すでに格安で販売している企業に顧客を奪われている」「顧客数だけを追い求める営業スタイルに大勢の社員が疲れている」などです。

最後、4番目は変わらないことによる喜び(D)です。「とりあえず今はこれで上手くいっている」「まだ、このやり方、この金額で新規獲得の可能性はあるだろう」などです。

変革ができるかどうかの判断は、BとCのインパクトがAとDのインパクトよりも大きい場合となります。つまり、「変わることによる痛みを減らす」「変わることによる喜びを増やす 」「変わらないことによる痛みを増やす」「変わらないことによる喜びを減らす」ことにより、「A+D

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