百万の典経、日下の燈/『致知2月号』感想文(加藤滋樹)
今回のテーマは、「百万の典経、日下の燈」です。典経(てんきょう)とは、聖人の書いた書物のことであり、本テーマの意を特集総リードでは「百万の典経を読んでも、実行しなければ、お日様の下で蝋燭を灯すようなものであり、何の価値もない」と解説していました。
今回も、小生が感銘を受けた記事をいくつか抜粋するなかで、所感を記して参ります。
冒頭でも引用した特集総リード、平澤興先生の「今日一日の実行こそが人生のすべてである」や「尊い教えを日下の燈にしなかった」という部分は、最近、小生のエッセイにて、プラグマティズム(実践主義)を取り上げていることもあり、このテーマに大いに勇気をいただきました。
東洋思想研究家・田口佳史先生と広島県教育委員会教育長・平川理恵先生との対談「古典の名著『大学』に学ぶ修己治人の道、先哲の教えを現代に生かす」では、田口先生のお話にあった儒家・仏教・神道の典籍(書物)がまさに一つのことを言っているとして、「宇宙根源の偉大さと、その根源と人間との深い関係」という点に心が惹かれました。これは松下幸之助が晩年の大著『新しい人間観』で訴えたかったことと通ずるものを感じました。田口先生と同じように、松下幸之助も宇宙観の理解を重視。万物に与えられた本質を見抜き、活かしていくことが「人間の繁栄につながる」と仰っていました。
また、コロナ禍であり制約のある現代であるからこそ、「自己の最善を他者に尽くし切る」という最善観や『大学』からの引用である「物に本末有り、先後する所を知れば、即ち道に近し」という、本学(人間学)と末学(時務学)との関係性も改めて勉強になりました。また、リーダーとしての資質を説いた「心広くして、体胖(ゆた)かなり」からは、小生も「そこに座っているだけで皆が何となく明るい気持ちになる」という理想的な姿になりたいと思いました。
書道家・武田双雲先生の「すべてに感謝し、日々、瞬間瞬間を楽しもう」は、親しみやすいお話の中から自らの天命を悟っていかれた道程が記されており、活力をいただきました。とくに「自分らしさというものは、社会と何度も何度もぶつかりながら懸命に工夫を凝らし、それを乗り越えることを繰り返す中で、少しずつ確立していけるもの」というお言葉には、小生自身のこれまでを重ねるなかで、良いこともそうでなかったことも全てが自身に生きてきていることを振り返る、有り難いきっかけとなりました。
ドラッカー学会・佐藤等先生の「仕事と人生に生かすドラッカーの教え、貢献に焦点を合わせるということは、人材を育成するということである」からは、教会を立てている石工の「この地域の心の拠り所をつくっている」という発言に心が響きました。教会という場の尊い目的を示した石工に対して、私たちは何故会社を経営しているか、大いに自己反省をすることになりました。本文にあるように、世の中には、お金を目的に働く人、自分の能力を高めるために働く人、教会に匹敵するビジョンを心に描いて働く人、様々です。やはり、小生は教会に匹敵する想いを描き、社会に役割を果たし貢献する人物でありたい。
以上、今回は特集層リード、田口先生と平川先生、武田先生、佐藤先生の4つの文章を取り上げました。
それらに共通して小生の学びとなったことろは、宇宙根源という言葉にもあったように本質を見極め、それを何よりも実行していくということの尊さです。改めてではありますが、私たちの志である「日本で一番幸せを感じられる会社をつくる」という理想はまだまだ道半ばでです。引き続き、想いを描き、身を律し、考えがや教えが日下の燈とならぬよう、何よりも実践を大切にして前進を続けて参ります。
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