致知出版社『論語と算盤(上)』読書会を開催しました

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング), 致知&木鶏会、読書会

加藤滋樹です。

ご縁をいただいております、グループホームまごころ・土山の施設長・内記様との発案によりまして、致知出版社から刊行されております『論語と算盤(上)』の読書会を開催しました。

定例では月刊誌の『致知』を用いた読書会を開催していますが、今回は趣がかわり一冊の本を題材に多面的な視野でご意見をお伺いすることができました。
ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

今回も小生の感想文を転載いたしました。ご高覧をいただけましたら幸いです。

=========================================

はじめに、『論語と算盤』の原書が育まれた、時代背景について少し触れたい。

原書である『論語と算盤』が出版されたのは、大正デモクラシーの中で経済がバブル化し、若い人を中心に立身出世、金儲けが注目された大正5(1916)年。そうした時代背景の中で出されたこの本で注目すべきは、「一見して相反する2つの要素である論語と算盤」を融合させたことにあると玄孫(5代目の孫)・渋澤健氏は指摘している。

「気長にチャンスを待つ」では、「世の中というのは、こういうことをすれば必ずこうなるものだという因果関係が良くわかった」という部分に共感しました。上善水の如しともいうように、水の流れに沿って、焦らずに道理を理解して自らの歩みを進めたい。

「官尊民卑の問題」については、渋沢の原点ともいえます。本文とは逸れますが十代の頃、父の代理として殿様の名代の所に行くのですが、その名代がとても不躾で、「お金を借りてやる」という態度であり、大層憤ったとのこと。若き頃、慶喜の懐刀としての活躍やその後の大蔵省での活躍、そして民間へ移っての起業の原動力は、その憤の一字に尽きるのだと思う。

「自然発生した逆境とは、大人物の試金石」は、小生が尊敬する森信三先生の「逆境とは神の恩寵的試練なり」に通づる考え方である。世の中の哲人は言葉を変えつつもおなじことを行っている。逆境こそが、「これは自分のつとめ」であり、自分しかできないこととして、正面突破をする気概をもちたい。

「世の中には大事とか小事といったものは本当はない。つまり、大事・小事を区別してああだくだというのは、君子の道ではない」は、松下幸之助を評した部下が「とにかく細かかった」と言っていたことに通じる。自分も、大雑把、寛容なってしまうこともあるが、神は細部に宿るということに気をつけたい。

「動機と結果」の冒頭、「私は志の曲がった軽薄な秀才は嫌いです。どれだけ所作が巧みであっても、誠意のない人間と方を並べるのは嫌です」と、その後の「正を選んで邪から遠ざかるには」にある「意志の鍛錬」は、理想だけでなく、現実にどうしていくかという点で示唆があった。「相手の言葉に対して常識というものを使って自答してみてください」 「実業家には信が全て」にある「どうしても守らなければならないもの」では、商業道徳をあげていた。これらは、小生のもつ道経一体思想しも勇気を与えてくれました。

「日新」の考え方では、松下幸之助翁も「生々発展、日に新た」ということを度々述べておられたことを思い起こした。どんなことでも形式化していくと精神が衰えていく。だからこそ、不断の見直しであり、日に新たな心がけが肝心です。そしてその心がけの原点ともいえるものがP242「利殖と仁義の道とは一致するものである」という論語と算盤の精神です。

 さて、本書を通じ、全体から創造されたことは、渋沢健氏が以前ご講演で仰っていた一文字につきます。

それは「と」の力です。
 
もちろん論語と算盤の「と」です。
それ以外にも道理と時、逆境と自分との関係、大事と自分、小事と自分、動機と結果、相手の言葉と常識、実業家と信、日に新たの原点である利殖と仁義など、「と」の可能性は無限です。
 
一方で、「と」に対する言葉として「か」があります。「と」をandとすると「か」はorです。私たちは、「あれかこれか」たとえば、お金か理想か、今か未来か、そして「論語か算盤か」などと考えてしまいがちです。「か」には確かに効率性を持ちますが、分断の力をもつ怖い言葉です。
 
一見、「と」の力は矛盾です。どうやって論語と算盤を融合させるのか、利殖と仁義を融合させるのか、相手の言葉と常識をどうやって図るのか、すぐにはできないだろうということもわかります。しかしながら、『アイデアのつくりかた』という書籍で著者のジェームス・ウェブ・ヤングが喝破したように、新たな物の方程式はA+B=Cです。既存のA+Bが新たな価値Cを生み出します。つまり、「と」の力を合わせるための、試行錯誤を組み合わせれば、必ず新しい価値を創造することができます。

そういう点で、本日のメンバーはまさに、「と」が結びつけるべき、各界で志をもつ素晴らしい方々であります。

ご参加の御礼を改めて申し上げつつ、感想を終わります。

=========================================
当社コラムをご覧いただきありがとうございました。
木鶏会での取り組みにご興味のございます方、人材の採用や定着にお困りの方は、お気軽にこちらの無料相談フォームにお寄せいただけますと幸いです(1分でご回答が可能です)。

関連記事一覧