「どんな商材をお探しですか?それを開発しましょう」

今月末に開催する社内研修会の課題図書として、神田昌典氏が1999年に発刊した名著『あなたの会社が90日で儲かる!』を設定しています。そして、私も改めてこの本を読んでいます。神田氏が外資系の家電メーカーの日本代表として勤めていた際、のちの顧客となる大手家電量販店の役員との商談で発した言葉が、この「どんな商材をお探しですか?それを開発しましょう」だったそうです。

当時、この外資系企業は日本からの撤退を検討しており、日本市場向けに「売るものが無い」という状況でした。。そんな不利な状況で商談にのぞみ、苦肉の策として出てきたこの言葉でしたが、無事に相手となる役員から仕入れたい商材・納品台数・価格帯を聞き出し、それらを3ヶ月で懸命に用意したそうです。この貴重な経験から神田氏はある心理に気づいたとのことで、それが私にとってもこの本の要所でありマーケティング施策の要諦であると理解しました。それが「お客を集める。お客の欲しい商品を聞く。そしてその商品を提供する」というくだりです。

「なんだそんなことか」「当然だろう」と思われるかもしれません。

事実、私が以前この本を読んだときは、この部分はすっ飛ばしてしまい、全く意識に残っていませんでした。しかし、改めて昨今のビジネス環境を見回していたり、私たちの会社の上手くいった商談の記録を振り返ってみたときに、この心理がいかに金言であるかを痛感します。

プロダクトアウトかマーケットインか、ということにも繋がっていくのですが、お客様がいればビジネスは立ち上がるものの、その順番を逆にしてしまうと全くもって立ち上がるということはありません。神田氏は「多くの会社が失敗するのは、この順番が逆だからだ」と指摘しています。私たちも反省する点があるのですが、多くの会社は売れそうな商品を仕入れたりサービスを用意したりしたのちに、それらにお金を払ってくださる会社を探します。そしてその当てが外れ、現実には売れない、在庫になるというスパイラルに陥ります。しかし、マーケティングの真理はまさに逆です。まずはお客様やお客様候補を集め、その方たちが欲しい商品やサービスをお伺いし、それらを提供するというものです。

「お客の欲しい商品を聞く」

まさに実践あるのみということで、改めてマーケティング活動を見直していきたいものです。

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