あと数日で処暑となります。暑さはおさまり、朝晩は初秋の涼しさを感じるという時期。まさに最近は雨模様で厳しい暑さもありません。このまま秋の季節の端緒に差し掛かってしまうのでしょうか、それとも暑さが戻ってくるのでしょうか。いずれにせよ、体調に気をつけたいものです。

 さて、前回は私が考えるコーチングの概念や心構えとして、「人間には無限の可能性がある」「答えは相手の中にある」という性善説的な見解を述べました。今回は、その考え方をもとにした具体的な技術について解説をしていきたいと思います。

 世の中の書籍やインターネットでの検索を調べてみますと、コーチングに関連する技術は多種多様に表現されていますが、私は「質問」「傾聴」「承認」の三つに集約されると理解しています。特に一番初めの質問は最も大切な技術です。そして、質問もまた、「拡大質問」「未来質問」「肯定質問」に分類をされます。これらの三つに共通をしているのが、コーチングの定義として述べた「相手が本来持っている能力や可能性を最大限引き出す」ことを目的とした質問であるというとです。

 はじめに、一つ目の拡大質問は何かといいますと、「質問をされた人が、すぐには答えることができない質問」というものです。「すぐに答えられない」といっても、難しい質問ということではありません。質問をされた側が、自身に対して問いかけをして答えを考える時間が必要ということです。例をあげると、「あなたが、人生で一番大切にしていることは何ですか?」「あなたはその経験を通して何を学びましたか」といった質問が拡大質問です。

 拡大質問の対義語は限定質問です。これは「質問をされた人が、即座に回答できる質問」のことです。答えが一つしか無いものや、二者択一なものがそれに当たります。例をあげると「今日の朝食は?」「スポーツと読書とどちらが好きですか?」といった質問です。

 限定質問は確認や選択をさせるには有益かもしれませんが、考えを深めたりアイディアを生み出すには向いていません。コーチングで重要となるのは拡大質問。相手の能力や可能性を引き出すために、相手に気づきを与えて自ら答えを見つけてもらいたいものです。皆様方も私も同様かと思いますが、人から言われて行動するよりも、自分で気がつき、行動するほうが責任感も意欲も高くなるものです。

 次回は未来質問と肯定質問について解説をしていきます。

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