エフェクチュエーション/5つの原則

加藤滋樹のつぶやき(人づくり×マーケティング)

台風11号の影響を気にしています。当社は北九州市に営業所がある関係で、九州から中国地方にかけてご縁をいただいている方々が多く、大禍が無いことを祈っています。

前回は、手元にある手段からスタートし何ができるか考えていく「エフェクチュエーション」という手法を紹介しました。エフェクチュエーションは「ゼロイチ」と呼ばれるような新規事業の実績に優れた起業家の特徴的な思考を分析したものです。今回はそのエフェクチュエーションについて、提唱者であるサラス・サラスバシー博士が述べた五つの原則を紹介していきたいと思います。

 一つ目は、「手中の鳥の原則」です。これは、新しい方策ではなく既存の手段を用いて新しい価値を生み出すことです。目標やプランによって手段を選択する目標設定型のアプローチとは違い、企業や組織、そして個人がすでに持っている技術やノウハウ、ネットワークなどの手段を用い、組み合わせて価値を創造していくアプローチです。

二つ目は、「許容可能な損失の原則」です。仮に損失が生じても致命的な事態に陥らないリスクを予め設定しておくということです。従来のように、将来期待できる利益を基本として戦略を練るのではなく、どこまでの損失であれば許容できるのかを予め決定しておき、それを超えない範囲で行動するというものです。私も含めて、大きなリターン予想に魅力を感じる人は多くいますが、リターンが大きければ当然リスクも大きくなります。優秀な起業家ははじめから大きな収益を目指して大きな投資を行うのではなく、小さな投資からスタートします。失敗してもすぐに方向転換できるように学習をすることで、次のプロセスへと進んでいます。

三つ目は、「クレージーキルトの原則」です。形や柄の違う布を縫い付けて一枚の布をつくるクレージーキルトという技法があります。同じように、顧客や協力会社、競合他社、従業員などの様々な繋がりを素晴らしいパートナーとして捉え、一体となってゴールを目指していきます。確かに、私たちの今までを振り返ってみると、様々な出会いの中から可能性の高い顧客を見つけ、そこに絞ってサービスのプロトタイプを提供し、顧客からご意見をいただいたり、対応した社員の感想を交えながら向上策を積み重ねてきました。不確実性の高い現代においては、市場環境への対応策としてこの原則は活用できます。

次回は四つ目以降の原則を紹介していきます。

当社コラムをご覧いただきありがとうございました。
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